自動車シートフレーム溶接無人化、テイ・エステックが4工場に導入
テイ・エステックは自動車シート用フレームの溶接工程を自動化するラインについて、2025年までに米国、カナダ、中国の4工場に導入する。自動化ラインは20年から鈴鹿工場(三重県鈴鹿市)で改良を重ねており、同工場では24年4月までに作業者ゼロの完全無人化を実現する見通し。25―27年にかけて立ち上がる新車向けシートフレームの生産に対し、生産性が高い自動化ラインで対応する。
溶接工程の自動化ラインは多数のアームロボットを使い、部品のピッキングや治具のセット、溶接に対応できる高効率生産ライン。20年に鈴鹿工場のラインを立ち上げた時には8人の作業者が必要だったが、23年11月時点で作業者を4人まで減らし、24年4月までに完全無人化を達成する見込み。
生産するのは主力のフロントシート用の世界標準フレームで、ガソリン車や電気自動車(EV)のシートに共通して使える部品。顧客の完成車メーカーが25―27年に向けて立ち上げる新車に間に合わせるため、鈴鹿工場の実績を確かめた上で、25年までに海外の各工場で順次、自動化ラインを導入していく。
テイ・エステックの24年3月期の設備投資は前期比8・2%増の158億円を計画している。自動化ラインの1工場当たりの投資額は数億円程度。海外展開は例年と同等の設備投資計画の範囲内で実施できる見通しだ。
自動車業界では米国で人手不足や労務費の高騰が工場運営の課題となっているほか、顧客の生産台数の変動に対する対応も必要となっている。テイ・エステックは、作業員が少なく高効率な生産が可能な自動化ラインを展開し、海外工場の安定生産と競争力強化につなげる狙いだ。
日刊工業新聞 2024年01月18日