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極性構造転移・超電導を両立、阪大が合成した新超電導材料の可能性

極性構造転移・超電導を両立、阪大が合成した新超電導材料の可能性

SrAuBiの(a)結晶構造と(b)電気抵抗率での超伝導転移 。極性構造ではBiの強いスピン軌道相互作用に由来したラシュバ型のスピン分裂したバンド構造が実現する(大阪大学提供)

大阪大学の高橋英史講師と佐々木友博大学院生、石渡晋太郎教授らは、新しい超電導材料を合成した。極性構造転移と超電導の二つが成り立つ新しいタイプの超電導体になる。材料表面が超電導になっていると示唆され、量子コンピューターや電子デバイスへ応用できると見込まれる。

ストロンチウム金ビスマスの半金属単結晶を合成した。金属と半導体の中間の性質を示す。この物質を冷やすと金ビスマスの層が歪み、非極性構造から極性構造へと転移する。

極低温では極性構造でありながら超電導を示した。臨界電流の結晶厚み依存性が従来の超電導体の振る舞いから逸脱した。物質内部でなく、物質の表面で超電導が発現しているとみられる。標準理論では説明のつかない超電導の可能性がある。量子コンピューター用超電導素子などへの応用が期待される。

日刊工業新聞 2024年01月11日

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