福島第一で廃炉作業実証、耐放射線水中探査ロボ4号機の機能
福島工業高等専門学校と東日本計算センター(福島県いわき市)、タカワ精密(同南相馬市)、アセンド(茨城県東海村)のグループは、耐放射線水中探査ロボット「ラドホタル」の従来の機種に改良を加えた4号機を開発した。3月にも東京電力福島第一原子力発電所で廃炉作業のための実証を始める。同時に廃炉関連企業とともに4号機モデルの実用機を夏以降に製作し、開発する計画。
ラドホタルは2018年度から福島県の「産学連携ロボット研究開発支援事業」の補助を受けて開発してきた。外側のケースの中に円形の筐体(きょうたい)を配置。放射線下でも、外側ケースに装着したモーターで姿勢を維持しながら前後左右に移動できる。初号機からこれまで操作性の改善などを進め、22年度からは廃炉関連企業からの予算で外側ケースを大きくした機種などを開発してきた。
4号機は外側ケースは四角状で、内部の円形の本体はアクリル材で直径300ミリメートル。リチウムポリマーバッテリー、カメラ、制御システムを搭載する。外側ケースにはモータースクリューを12個搭載し、位置計測システムとケーブルを通じて姿勢を制御して水中を精密航行できる。積載量は4・5キログラムでぶら下げて運ぶ。福島第一原発の現場は水深10メートルが最深だが、水深20メートルまで潜行可能。累積1000ベクレルまで放射線に耐えられる。
3月に実施予定の現場での実証によりこれまでの基礎研究・実用化研究を終了する。このため、1月から実用化1号機の開発に入る。福島県浜通り地域で組み立て、廃炉関連事業以外の用途も開拓する。
日刊工業新聞 2023年1月9日