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量子コンピューターの性能向上へ、産総研がトランジスタ低温動作の仕組み解明

量子コンピューターの性能向上へ、産総研がトランジスタ低温動作の仕組み解明

※イメージ

産業技術総合研究所新原理シリコンデバイス研究チームの岡博史主任研究員、森貴洋研究チーム長らは、トランジスタが低温で動作するメカニズムを解明した。低温半導体物理に残された謎を解き明かした成果で、量子コンピューターの性能向上につながる。

トランジスタが低温で動作するメカニズム

研究チームは、従来の研究対象だった4ケルビンよりも2ケタ低い0・015ケルビンの極低温で電気特性を測定。半導体界面の欠陥が電子を捕獲する現象が、オフ状態からオン状態へのスイッチング特性を決定することを明らかにした。

集積回路を構成するトランジスタの特性は温度によって変わるため、設計時にはその動作温度でのトランジスタ特性の理解が重要。近年、量子コンピューターの制御回路に向けて4ケルビンの低温で動く集積回路の開発が求められているが、このような低温でのトランジスタのスイッチング特性は従来の半導体物理の理論では説明できず、解明が待たれていた。

日刊工業新聞 2023年12月14日

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