温度上昇速度2倍以上に…産総研が開発した「テラヘルツ波パワーセンサー」の実力
産業技術総合研究所の桑野玄気研究員と栗原一真研究主幹、木下基研究グループ長らは、第6世代通信(6G)に用いられるテラヘルツ波の高速応答パワーセンサーを開発した。テラヘルツ波を吸収して熱に変換し、温度変化でテラヘルツ波の強度や分布を測る。温度上昇速度が2倍以上に向上した。無電解メッキで量産できるため実用化しやすい。6G製品の検査や電波環境の調査などへ提案していく。
3Dプリンターで中空ピラミッド構造が並んだ樹脂構造体を作製した。この表面に無電解メッキで金属薄膜を形成する。3次元構造でテラヘルツ波の吸収性能を高めた。
吸収率は周波数0・1テラ―1・0テラヘルツ(テラは1兆)の間で99%以上。金属薄膜の熱容量が小さいため35秒で昇温する。従来は70―300秒ほどかかっていた。等温制御回路や熱電変換素子と組み合わせてパワーセンサーを構成する。
テラヘルツ波の電波強度を測る精度と効率が向上する。6Gの普及に向けて製品検査や施工のために、安価で簡便な測定方法が求められていた。
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日刊工業新聞 2023年10月02日