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シリコン系素材をナノ加工、物材機構がフォトニック結晶を作製した意義

シリコン系素材をナノ加工、物材機構がフォトニック結晶を作製した意義

トポロジカルフォトニック結晶の電子顕微鏡写真

物質・材料研究機構の迫田和彰特別研究員らの研究チームは、汎用のシリコン系素材をナノメートル(ナノは10億分の1)寸法で加工し、トポロジカル(位相幾何学的)なフォトニック結晶を作製した。シリコン製の設計自由度が高い光回路として、半導体レーザーや光記録、量子ビット間の情報伝達などへの応用が見込める。

日本物理学会発行の英文誌JPSJに掲載された。

迫田研究員らは有限要素法による試料設計に基づき、電子線リソグラフィーで厚み0・4マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のシリコン薄膜をナノ加工してフォトニック結晶を作製した。

トポロジカルな性質の異なる2種類のフォトニック結晶の境界上で一方通行の光回路(光導波路)を作り、独自開発の高分解能の赤外反射測定装置でその特性を検証した。

このような2種類のフォトニック結晶を貼り合わせると、その境界上では右円偏光の光の波(電磁波)は必ず右方向へ進み、左円偏光の光波は左方向へ進むといった一方通行の光導波路ができる。

既存のシリコン光導波路では反射が起こるが、トポロジカルな性質を用いた一方通行光導波路は反射が起こらないため、進行波型のレーザー共振器が作れるなど応用の可能性が広がる。

光波を対象とする規則的な配列をフォトニック結晶と呼ぶ。物質のトポロジカルな特徴は数々の興味深い物性を発現することから、光波のトポロジカルな性質を研究する「トポロジカルフォトニクス」分野では近年、世界中で活発な研究開発が行われている。

日刊工業新聞 2023年12月4日

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