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エネルギー密度10倍、名大と物材機構がスゴい「キャパシター」開発

名古屋大学の長田実教授と物質・材料研究機構の佐々木高義フェローらは、世界最高のエネルギー密度の誘電体キャパシターを開発した。高誘電率のカルシウム・ナトリウム・ニオブ酸化物のナノシートを利用する。1立方センチメートル当たり272ジュールと、従来材料の2―10倍の密度になる。高エネルギー密度の全固体蓄電デバイスの実現につながる。

各種蓄電デバイスにおけるエネルギー密度と出力密度の比較した図(名古屋大学の発表資料より)

カルシウム・ナトリウム・ニオブ酸化物のニオブが6層のナノシートで多層膜を作製した。このナノシートの誘電率は470で1メートル当たり400メガボルト(メガは100万)の電圧に耐える。誘電率が高く、印加電圧も大きくできるためキャパシターのエネルギー密度が大きくなる。

エネルギー密度は1立方センチメートル当たり272ジュールで、従来材は同10―150ジュールのため2―10倍に相当する。これはリチウム二次電池や電気二重層キャパシターに匹敵する。300度Cでの高温安定性も確認した。

日刊工業新聞2023年5月22日

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