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輝度は大型レーザー並み100万kW…京大が直径3mmPCSELを光波結合制御で実現した

輝度は大型レーザー並み100万kW…京大が直径3mmPCSELを光波結合制御で実現した

大型レーザーに匹敵する輝度を達成

京都大学の野田進教授らは、直径3ミリメートルのフォトニック結晶レーザー(PCSEL)の連続動作での輝度を大型レーザーに匹敵する1平方センチメートル角当たり100万キロワットに高めることに成功した。結晶内部の光波の結合状態を精密制御することで実現した。金属などの切断や加工に必要な輝度を満たしており、部品点数やコストを抑えた小型デバイスの開発を後押しすることが期待される。

研究チームはフォトニックバンド構造の特異点において、大面積で安定したレーザー発振が可能になることを1999年に発表。以降輝度の増大を目指し、22年に100万キロワット級の輝度の実現を目指した設計指針をまとめた。

これに基づいて今回、直径3ミリメートルのPCSELを完成した。フォトニック結晶と裏面反射鏡の距離を調整するなどして、求める特性が得られるように工夫した。開発したPCSELを評価した結果、0・05度未満という狭いビーム広がり角で発振が得られた。

デジタルを活用した生産現場で、コストが低く高効率で小型の半導体レーザーの需要が高まっている。半導体レーザーの種類として現在、ブロードエリア半導体レーザーやファイバーレーザーがある。ただ現在の半導体レーザーは輝度が大型レーザーよりも大幅に小さいことや多くのレーザーを励起用として必要とするなど、多くの課題がある。

成果は英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。

日刊工業新聞 2023年06月15日

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