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航空・エネ分野の投資手がけるスタートアップ、SAF参入の目論見

航空・エネ分野の投資手がけるスタートアップ、SAF参入の目論見

アビネールは米ルイジアナ州にSAF製造工場を建設予定のDGフュエルズに出資した(イメージ)

航空・エネルギー分野で投資事業などを手がけるスタートアップのアビネール(東京都品川区、山中秀介最高経営責任者〈CEO〉)は、持続可能な航空燃料(SAF)事業に参入した。SAFを生産予定の米国のDGフュエルズ(DGF)に出資し、日系航空会社などへのSAF販売を計画する。豊富な森林残渣(ざんさ)などから効率的にSAFを供給してカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)の需要を取り込む。将来は国内生産も視野に入れる。(編集委員・田中明夫)

アビネールは2027年にもSAF製造を開始予定のDGFにこのほど出資した。出資額は比較的小規模にとどまるが、石油元売りや商社以外の国内企業が海外のSAF事業に参画するのは珍しい。

DGFは24年に米ルイジアナ州で42億ドル(約6300億円)を投じてSAF工場の建設を開始し、27年ごろに運転を始める計画。生産能力は年間約70万キロリットルと、19年の日本でのジェット燃料消費の約5%に相当する。

すでに航空大手から引き合いがあり、米デルタ航空や仏蘭エールフランスKLMなどへのSAF販売が決定済みのほか、直近ではエールフランスもDGFへの出資を発表した。アビネールは日本を含むアジアの航空会社の米国での給油向けに販売を検討する。

DGFはミシシッピ川上流の間伐材由来の一酸化炭素と、太陽光発電による水電解で取り出す水素を使ったFT合成でSAFを製造する。化石資源から液体燃料を作る技術として確立するFT合成と、豊富な森林残渣を使った大量生産により「大幅なコスト低下が見込まれる」(渡辺憲一アビネール最高執行責任者〈COO〉)とする。各所から廃食油を回収する一般的な手法に対し競争優位性を発揮して攻勢をかける。

米国政府は30年までに、SAFを年間約1140万キロリットル生産する目標を掲げ、助成措置を講じるなどして開発競争が加速。DGFはルイジアナ州以外にも米国で3件の工場建設を検討する。日本政府も30年時点で航空燃料の1割をSAFにする目標を設定しており、アビネールは「将来的には日本で目標達成の一端を担いたい」(山中CEO)とし、SAFの国内生産も検討する方針だ。


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日刊工業新聞 2023年11月15日

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