マツダが米国のブランド戦略の軸を「日常使い」にシフトする狙い
マツダは米国でブランド戦略を見直す。従来、世界の2%のファンに強く共感されるデザインやクルマ作りを徹底する「2%戦略」に基づきグローバルでブランド価値を高めてきた。米国を中心にシェアを広げる中、幅広い層を取り込むために、実生活に合った商品作りやブランド訴求にシフトする。米国で2025年度に23年度予想比2割増の45万台の販売を目指す。
商品ラインアップは大きく変えず、ブランドの打ち出し方や商品コンセプトの軸を「日常の使いやすさ」など大衆寄りに移す。
例えば米国では荷室やキャビンの広さを重視する傾向にある。従来のようにデザイン優先でキャビンの広さを犠牲にすることは避ける。車を人や物の移動に用いる「日常使い」が目的の大多数のユーザーに適した訴求の仕方にシフトする。日常的に車を運転する女性の目線も重視する。
マツダは16年から、インセンティブに頼らずブランド価値を顧客に訴求し、適正な価格で販売する「新世代店舗」を300店舗設立する販売網改革に取り組んできた。高価格帯の大型スポーツ多目的車(SUV)などを戦略的に投入した。こうした改革が奏功し、米国市場の5人乗り中型SUVセグメントでマツダは約8%のシェアを握る。
シェアについて「もはや小さいと言えない。米国は、分かる人だけに買ってもらうところから脱皮し、幅広い顧客が喜ぶ商品にシフトしないといけない」(大塚正志グローバル販売&マーケティング本部本部長)としており、強い市場で収益力を高め、電動化投資などに振り向けていく。
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日刊工業新聞 2023年10月26日