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自転車生産でロボット駆使、パナソニック系・主力工場の生産性

自転車生産でロボット駆使、パナソニック系・主力工場の生産性

複数のロボットが連携する自動溶接ライン

パナソニックサイクルテックは主力の柏原工場(大阪府柏原市)で2021年からロボットを駆使した自転車の生産を行っている。従来も溶接ロボットを使っていたが、更新後は複数のロボットが連携する自動ラインを実現した。さらに従来手作業だった塗装工程もロボットと設備を活用し粉体塗装を導入し主流化した。安定で合理的な生産ラインを実現し、品質向上とともに省人化により将来の人口減に備えた製造現場となった。(編集委員・安藤光恵)

自動溶接は量産型自転車のフレーム生産で導入。溶接ロボット3台とハンドリングロボット5台で構成する。各溶接ロボットが製品を載せるワークセットパレットを2台ずつ持ち、溶接ロボットの作業中にハンドリングロボットが次の製品を載せておく仕組みだ。駆動ユニット製造課の広岡大輔課長は「ライン稼働中に停止するロボットが存在しない仕組みを確立した」と話す。生産能力は3割向上し、従来9人必要だった作業が3人で済む省人化も実現した。

自転車のフレームは部品点数が多く複雑な形状のため、微妙な歪みが発生しやすい。従来から溶接はロボットが担ってきたが、ロボットの安定作業を支えるハンドリングの熟練度が問われた。自動化では「熟練者の動きの再現に注力した」(広岡課長)。抑え込みとティーチングの工夫でロボットが常に同じ動きで作業できるようにした。誤作動を起こしにくいよう囲いを置くなど作業環境も配慮。溶接後の全数検査は人の目が欠かせないものの「着任したばかりの担当者もラインに入りやすくなった」(同)。

複雑な形状もロボットで粉体塗装できる

塗装工程も更新前は人手による溶剤塗装のみだったが、アーム型ロボット2台とレシプロ塗装機3台で粉体塗装を開始。床に落ちた塗料を再利用できるのが特徴で、溶剤では実際に自転車に付着するのは約40%だったが、粉体塗装では約90%に向上。作業回数も溶剤の3回から粉体では1回と減少した。揮発性有機化合物の排出がなく環境対策にもつながっている。現在は約7割の製品で粉体塗装を採用している。

溶接と表面処理が終わった自転車のフレームをつり下げ、自動で塗装ラインを通過させる。フレームは形状が複雑なため「側面から吹き付けるレシプロ塗装機だけでは完全な塗装ができず、ロボットによる事前塗装が欠かせない」(田中藤郎製造技術課課長)。

最初に2台のロボットが正面や入り組んだ構造の部分など側面から届きにくい場所を塗装しておく。レシプロ塗装機はレールにより約3分で配置を入れ替えられ、アームロボットは複数のタンクを持っているため色の切り替えもスムーズにできる。現在20色に対応している。

どちらの自動ラインも現段階では量産品が対象。さまざまな形状や色が求められる小ロット製品は人による作業を継続し、すみ分ける形を取っている。ロボットが今以上に複雑な作業をするには課題があるが、できる範囲での活用で持続可能な生産体制構築を図っている。


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日刊工業新聞 2023年10月24日

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