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クラファン企業・徳島大前学長が発足、起業家支援コミュニティーの特徴

クラファン企業・徳島大前学長が発足、起業家支援コミュニティーの特徴

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クラウドファンディング(CF)を手がけるアカデミスト(東京都新宿区、柴藤亮介社長)や徳島大学の野地澄晴前学長が一般社団法人「アカデミスト起業学会」を発足した。大学などの研究者が時間をかけて起業に取り組むコミュニティーで、ベンチャーキャピタル(VC)などが手がけるスタートアップ(SU)支援より長期視点なのが特徴だ。事業形態や資金獲得法などにおいて多様な選択肢を用意し、起業家予備軍を増やす考えだ。

アカデミスト起業学会の活動計画

アカデミスト起業学会は、研修や情報交換、ネットワーク構築で力を付けていくコミュニティー。大学院生らを社長候補に教育する活動も計画している。

年会費は個人正会員1万円、法人などの賛助会員は一口10万円。賛助会員はアクセラレーター(起業家育成組織)やVC、民間非営利団体(NPO)法人や自治体、事業会社なども対象とする。これによりCFを起業前の試作プロジェクトや創業資金集めに使ったり、SUでなくNPOでの事業化を検討したりといった多様な選択肢が用意できる。時間をかけて互いを知ってからSUメンバーを構築することで、成功率向上を図る。

アカデミストのCFでは近年、研究者が寄付者にプロジェクト進捗(しんちょく)状況を報告するコミュニケーション力を磨き、試作品などへの反応を基に創業するなど、多様化が進んでいる。創業資金もVCではなく、寄付で調達したいとの希望が出てきているという。

日刊工業新聞 2023年10月24日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
取材前は「起業家支援は公的機関やアクセラレーターなどが多数、手がけているのになぜ、改めて必要なのか」と疑問に思っていた。野地先生、次いでアカデミストと両方を取材したことで、「なるほど、これまでのやり方では対象外になってしまう起業家候補を、長い目で育てていくのだな」と理解した。学会という名称も、最初は「起業についてのビジネス研究の発表をする集まりのようだ」と思ったが、そうではなくて「学会と同様の、研究者になじむコミュニティー」を体現するために、名付けられたのだと分かった。

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