トヨタの車載OS「アリーン」、一端が見えてきた!デジタルソフト開発センター長が想定する世界観
モビリティーの枠広げる
トヨタ自動車が開発するソフトウエアのプラットフォーム(基盤)となる車載基本ソフト(OS)「アリーン」の一端が見えてきた。アリーンは開発者と利用者の双方で車との関わり方を深めるためのツール。開発者にとっては車にまつわるソフトの開発や改善が容易になり、利用者はアリーンによる車の機能拡張で自分好みの新しい体験を味わえる。ドライバーの選択肢を広げ、人がモビリティーを通じて得る体験の価値向上を目指す。
「車の魅力を向上する知能化で、お客さまの生活を豊かにする」。こう話すのは、1日付で発足したトヨタの新組織、デジタルソフト開発センターの皿田明弘センター長だ。
皿田センター長が想定する、アリーンを駆使した世界観はこうだ。例えば買い物に行く際、車が専門店やセレクトショップへとスムーズに誘導。観光地に遊びに行く際も、車が飛行機や船舶などと連携しシームレス(継ぎ目なし)な移動を実現する。日頃から遊んでいるゲームを家の中だけでなく車中でも楽しむことができる。「価値の連結をアリーンで実現する」(皿田センター長)という。
実際に、トヨタは電気自動車(EV)1台で旧車やスポーツカーなどさまざまな車の乗り味を体験できる「パーソナライゼーション・オブ・モーション」や、車載カメラが人の指の向きを察知し、その先にある店舗などの情報をドライバーと共有する「インタラクティブ・リアリティ・イン・モーション」などの知能化技術を開発。成果を26日からの「ジャパンモビリティショー2023」で披露する。デジタルの力で車の機能を拡張し、新たな体験を提供する。
こうした技術開発や新たな体験の提供もアリーンが下支えする。ウーブン・バイ・トヨタのジョン・アブスマイヤー最高技術責任者(CTO)は「車のためのソフト開発方法をアリーンで変える」と言い切る。
アリーンは車のソフトを開発・評価するツールであると同時に、ソフトを車に搭載しやすくする開発キットでもあり、さらに人や車社会を相互に結び付ける役割も併せ持つ。サードパーティー(外部の開発者)にとっても、開発した新たな機能や体験を車に搭載しやすくなり、モビリティーの枠を広げることにつながりそうだ。
【関連記事】 東レの子会社はなぜ強いのか