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電気透析で20倍に濃縮…海洋機構など開発、海水からCO2を回収する技術の仕組み

海洋研究開発機構の吉田弘グループリーダーは清水建設やケミックス(相模原市南区)と共同で、海水から二酸化炭素(CO2)を回収するシステムを開発した。電気透析で海水を酸性化し、CO2を放出させる。大気の20倍の濃度のCO2を得られた。海水に含まれる炭素量は大気の120倍。洋上風力発電と組み合わせ、余剰電力でCO2を回収するシステムとして提案していく。

海水中には中性では重炭酸イオン、酸性ではCO2の形で炭素が含まれる。そこで電気透析で海水を酸性化して重炭酸イオンをCO2とする。この状態でCO2を含まないガスと触れると気液平衡でCO2が放出される。

電気透析はバイポーラ膜電気透析装置を採用。実験では海水の水素イオン指数(pH)を6・2まで下げると、約8000ppm(0・8%、ppmは100万分の1)のCO2が放出された。大気のCO2濃度は約400ppm(0・04%)のため20倍に相当する。CO21モル当たり139キロジュールのエネルギー効率で回収できた。

現在は海水からのCO2回収を概念実証(PoC)した段階。地下貯留やCO2活用には搬送システムが必要になる。アミンに吸収させて液体として運ぶことを想定する。大気から直接CO2を吸収する方法もあるが、低濃度で吸収するアミンは放出しにくい。吸収段階で20倍の濃度を確保できると放出しやすいアミンを選べる。

電源として洋上風力発電を想定する。需給変動で余剰になった分をCO2回収に利用できる。10メガワット(メガは100万)級の洋上風力発電機に併設させる場合、CO2回収装置の大きさは30×30×3メートル程度になる。浮体式プラットフォーム(基盤)に載せられると見込む。

日刊工業新聞 2023年10月12日

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