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鉄道シート向けシェア8割、関織物が守る技術と独自の設備

鉄道シート向けシェア8割、関織物が守る技術と独自の設備

関織物で稼働するジャガード織機

鉄道やバス、一部の最高級車、家具などの表皮材に使用されるパイル織物で、色柄の表現ができる「ジャガードモケット」。国内メーカーは限られ、住江織物は国内の鉄道向け表皮材で8割と圧倒的なシェアを占める。2022年にはジャガードモケットを一貫製造できる関織物(岐阜県関市)を子会社化。関織物はジャガードモケットの生産のほか、産業資材向けに使用するモケット製品の売上高比率を2―3年後に現状1割から3割にすることも目指している。(大阪・岩崎左恵)

ジャガードモケットは耐久性に優れ、滑りにくく、汚れが目立ちにくいのが特徴で、100年以上前から鉄道に使用されている。鉄道やバス向けのシート表皮材は企業ごとに異なり、路線によっても柄や色合いはさまざまでデザイン性が高い。そのため少量多品種となり、国内でしか対応が難しい。

関織物によるとジャガードモケットを織るジャガード織機は国内では30台程度しか残っていない。そのうち同社が12台を保有している。生産できる工場が少なく、人手不足や後継者不足も課題だった。業界を維持するためにも「安定供給する責任がある」(瀬戸貞弘社長兼住江織物執行役員車両資材事業部門長)として、住江織物は関織物を子会社化。関織物の長井昌也取締役工場長は「新型コロナウイルス感染症もあって仕事の波が大きくなる中、大企業と協力して影響を緩和することで、社員や設備の維持につながる」と話す。

古い織機のため修理は自前。生産管理のソフトも独自で開発し、ジャガード織機に約3200本必要な糸を巻いたボビンを、デザインによって必要な糸の長さを計算して糸を巻くことでロスを減らしている。同システムを使わないと「90キロ―100キログラムほどになる」(長井工場長)ロスが30キログラム程度にとどまっており、材料費の削減などに貢献している。

さらに関織物では住江織物のインテリアや自動車関連などの事業部と連携し、販路拡大を狙う。同時に高品質が要求される産業機器向けの部材や、日用品向けなどでも売り込む。産業資材向けのモケット製造に使用するドビー織機はまだ国内でも数は多く、拡大余地があるという。瀬戸社長は「関織物の技術を住江織物の販路も用いて広げていけるのでは」と、さらなるシナジー発揮に向け意気込む。

日刊工業新聞 2023年10月11日

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