ニュースイッチ

「ウェブ3.0」技術を活用、安全性が高い次世代型データ保管システムの中身

キャスレーディープイノベーションズが開発
「ウェブ3.0」技術を活用、安全性が高い次世代型データ保管システムの中身

イメージ

キャスレーディープイノベーションズ(東京都渋谷区、砂川和雅社長)は、次世代インターネット技術「ウェブ3・0(ウェブ3)」の秘密分散技術を活用し、安全性が高い次世代型データ保管システムを開発した。防衛や警察、金融機関の情報、病院のカルテ、事業計画や製品開発といった企業秘密、大学・研究機関での研究論文や研究データなどへの適用を想定。経済安全保障の観点でデータ管理や保護の重要性が高まっていることに対応する。

秘密分散による安全なデータ保管の仕組み

「furehako(フレハコ)」の製品名で発売した。価格はサーバー1台の導入費用が50万―100万円(消費税抜き)。別途、月額利用料がかかる。既に国内の政府機関や大学などが導入を始めた。

団体内などの分散型ネットワークにフレハコをインストールしておくと、対象のデータファイルを断片化し、断片1個1個に異なった暗号をかけた上で、ネットワークの端末に分散して保存する仕組み。所定のファイルをダウンロードする場合には、そのハッシュ値(復元できない変換データ)を指定することで断片を集約・復号化できる。

経済安全保障に係る重要データは厳重に管理・保護する必要がある(イメージ)

クラウドサービスなど従来の中央集権型の方式に対し、複数の端末に暗号化ファイルが分散され、ハッキングに強い点が特徴。ファイルの更新履歴がブロックチェーン(分散型台帳)に記録されるため、「検閲や改ざんも不可能で、企業や政府機関が使える実用的なウェブ3サービス」(砂川社長)だとしている。ネットワークに参加する端末に万一障害が発生しても冗長化して断片を生成してあることから、別の端末から断片を集めて復号できる。

キャスレーディープはフレハコについて、導入費用や月額使用料に加え、専用のネットワーク対応ストレージ(NAS)をはじめとするハードウエア販売での収益も見込む。

12月にはソフトウエアのオープンプラットフォーム(基盤)化にも乗り出す。さまざまな処理が行える分散型アプリケーション(DApps=ダップス)の開発を促すことで利用者を増やし、事業の海外展開に弾みをつける。

日刊工業新聞 2023年10月10日

編集部のおすすめ