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DNPとマイクロ波化学が開発、車載センサー・カメラ向け高透明・導電性フィルム

DNPとマイクロ波化学が開発、車載センサー・カメラ向け高透明・導電性フィルム

銀ナノワイヤを使った透明導電フィルム

大日本印刷(DNP)とマイクロ波化学は3日、マイクロ波の照射により製造した直径約11ナノメートル(ナノは10億分の1)の銀の導電性繊維を使って高い透明性と導電性を持つ透明導電フィルムを開発したと発表した。車載用センサーやカメラの透明フィルムヒーターなどでの採用を目指す。12月からDNPがサンプル提供を始め、耐久評価などを経て2024年12月に量産を始める予定。

開発したフィルムは直径約11ナノメートルの銀ナノワイヤの使用により、可視光や近赤外光において従来品と比べて高い透過率と低い拡散反射率を実現した。高機能センサー「LiDAR(ライダー)」に同フィルムをヒーターとして活用した場合、凍結や結露を防止するほか、拡散反射低減により検出感度が向上。寒冷地での安全な運転を支える。

また同フィルムは、酸化インジウムスズ(ITO)などの導電性金属酸化物を高密度で均一に薄膜形成した従来の透明導電フィルムに比べて、高い耐久性や曲げ性を持つ。

マイクロ波化学は銀に直接マイクロ波を照射する結晶制御技術を改良し、結晶を長さ方向に成長させてアスペクト比の高い直径約11ナノメートルの銀ナノワイヤの生産技術を確立した。DNPはインキ配合やウェット方式といった精密塗工技術により、銀ナノワイヤを低温で均一に基材へ薄膜形成した透明導電フィルムを開発した。


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日刊工業新聞 2023年10月04日

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