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先端半導体の選択肢に、湘南工大が複数入力可能な積層型GAAトランジスタ設計

湘南工科大学の渡辺重佳名誉教授・学事顧問は複数入力が可能な積層型GAA(ゲート・オール・アラウンド)トランジスタを設計した。GAAトランジスタでNAND回路やNOR回路を構成すると、従来技術の2割まで占有面積を小さくできる。ウエハー上の積載数や製造数が増え、コスト競争力につながる。半導体の世代数で2―3世代分の微細化に相当する集積効果が見込める。

シート状チャネルをゲート電極ですべて囲む積層型GAAトランジスタ構造を設計した。積層する際にゲート電極を階段のように露出させて配線する。縦方向に積層したGAAトランジスタは垂直配線で接続する。並列や直列に接続し、ゲートを個々に操作してNAND回路やNOR回路を構成する。

NAND回路のパターン面積は、平面型のGAAトランジスタで構成する場合に比べて2割まで小型化する。積層工程は増えるが、1層当たりの工程数やコストは4%程度の増加で済むため、面積が小さくなる方がコスト削減効果は大きい。特許出願した。

2ナノメートル(ナノは10億分の1)世代に適用すると0・7ナノメートルや1ナノメートルのサブナノ世代に相当する小型化が可能。高速低消費電力ロジックLSI(大規模集積回路)を2―3世代分前倒しできると見込む。

従来研究はゲート入力が1種類に限られ、複数の入力が必要なCMOS型NAND回路やCMOS型NOR回路を構成できなかった。

2ナノメートル世代のGAAトランジスタはラピダスが米IBMから導入している。先端半導体の選択肢として提案していく。


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日刊工業新聞 2023年09月28日

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