大地震の揺れ再現、鹿島が振動台を開発した狙い
鹿島は制震・免震技術の提案に向け、大地震の揺れを再現した振動台を開発し、運用を始めた。直下型地震や長周期地震動で建物に生じる揺れを体感してもらうとともに、制震・免震構造を採用した場合の低減効果を訴求。建物の用途や規模ごとに異なる地震対策において、顧客との合意形成に役立てる。設備の転倒や落下など、振動が問題となる案件の検証にも活用する。
水平2方向に加え、上下方向の突き上げを含む地震動を再現した振動台「トライデッカー」を開発した。鹿島の技術研究所西調布実験場(東京都調布市)で運用する。搭乗者はヘッドマウントディスプレーを装着することにより、360度の仮想現実(VR)動画を見ながらの体感も可能になる。地震に対する意識向上を後押しし、安全性の高い建物の普及につなげる。
併せて2008年に開発した可搬型振動台も改良し、「ポータ震Ⅱ」として運用を始めた。天板の大型化で乗降や実験用治具の搭載を容易にしたほか、操作にタブレット端末を導入。組み立て方法も見直し、一人で扱えるようにした。
日刊工業新聞 2023年09月26日