リチウム電池外装材2割増強で10億円投入、T&Tエナテクノの強み
T&Tエナテクノ(東京都台東区、永原和彦社長)は、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)向けリチウムイオン二次電池(LiB)用外装材であるハードパックの生産能力を2022年度比2割増強する。滋賀工場(滋賀県東近江市)の既存生産ラインを増強し、9月中に稼働することで年産約4800万個体制となる見込み。投資額は10億円程度。30年度に同社全体の売上高を22年度比約2倍の100億円超に引き上げる。
ハードパックはアルミニウムの缶で、正極材や電解液などで構成するLiBを保護する役割を持つ。T&Tエナテクノは顧客ごとに仕様が異なるハードパックを手がけている。多品種対応によりボトルネックとなっていた型抜きなどの前工程を設備増強で改善。金型交換によりラインを止める時間を短縮でき、段取り替えの効率が上がった。
生産能力増強に伴って滋賀工場で約30人を増員し、100人体制にした。現在、同社の車載用ハードパックはHV向けが主体だが、「26年以降はEV向けの需要も高まると見ている。ニーズに合わせて設備投資は継続したい」(永原社長)。
T&Tエナテクノは凸版印刷と東洋製缶グループホールディングス(GHD)の共同出資会社として11年に設立。凸版が51%、東洋製缶が49%出資している。主力のハードパックは国内で約6割のシェアを握る。東洋製缶GHDが培ってきた高速生産技術や顧客ごとに異なる仕様に対応する設計力、凸版の持つ設備保全の知見などを強みとする。
日刊工業新聞 2023年9月26日