ニュースイッチ

業界初・遠隔操作方式の搭乗橋、新明和がAI・センサーで自動化推進

業界初・遠隔操作方式の搭乗橋、新明和がAI・センサーで自動化推進

遠隔操作で自動接続した搭乗橋(チャンギ空港グループ<CAG>提供)

新明和工業が航空旅客搭乗橋事業の技術開発を強めている。8月には操作員1人で搭乗橋を航空機へ自動接続する業界初の遠隔操作方式を、シンガポールのチャンギ空港で実用化した。狙いどころは空港地上作業の世界的な技能者不足。強みの人工知能(AI)やセンサーなどで技能者不足の解消を支援し、アジア市場でシェアを伸ばす。(大阪・田井茂)

新明和とチャンギ空港の運営企業は8月24日、就航中の商用機に搭乗橋を自動接続する遠隔操作に共同で成功した。操作員が搭乗橋の柱脚にある遠隔操作盤のタッチパネルを1回押すと、搭乗橋はゆっくり走行を開始。機体の乗降ドアの2センチメートル手前で正確につながり、乗客はスムーズに移動を始めた。

「搭乗橋の操作は難しい。操作員は養成に半年かかるともいわれる」。新明和の中井義裕空港施設部長はこう指摘する。そこで早くから進化させてきたのが自動化技術だ。2015年に、乗降ドア10センチメートル手前までAIで自動走行する搭乗橋の実証実験を開始。20年には同2センチメートル手前まで接近する技術も開発した。これらは国内3空港で実稼働している。

しかし、いずれも操作員が搭乗橋内で1基ごとに操作し、接続の最後に人手が必要な搭乗橋もある。チャンギ空港では搭乗橋内の操作員を完全に無人化。搭乗橋が2基必要な大型機でも1人で操作できる。

22年8月から実物大の航空機模型も使い、遠隔操作の精度や信頼性を検証。そして運営企業に認められ、実用化を果たした。走行タイヤの周囲安全確認センサーや搭乗橋内部の監視画面を追加し、監視技術を向上。機体の配色や天候が異なる場合でも、乗降ドアの位置を正確に判別するAIの学習効果を高めた。

中井空港施設部長は「AIでは先行する自負がある。航空機1機で操作員を2人から1人に減らせるだけで生産性は倍増する」と優位性を説く。世界の空港では旅客搭乗橋の操作員ら地上作業の技能者が不足し、人材確保や育成が容易ではない。AIやセンサーで自動化技術を磨いてきた新明和に勝機が訪れている。知名度の高いチャンギ空港で成功した遠隔操作方式を、同空港など国内外で提案に乗り出した。

新明和は60年代に米国企業と技術提携して搭乗橋に参入した。東南アジアに強く、中国を除くアジアではシェア33%で首位。国内では、やや先行する三菱重工業と市場をほぼ2分する。「遠隔操作方式の成功を機に、逆転したい」(中井空港施設部長)と意気込む。

日刊工業新聞 2023年09月12日

編集部のおすすめ