DXの申し子・東芝の島田新社長は経営混乱を正常化できるか

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(左から)綱川智前社長、島田太郎社長、柳瀬悟郎副社長、佐藤裕之専務)

東芝グループの2社分割計画が揺れている。スピンオフを主導して大株主の求める非公開化に消極的だった綱川智前社長の退任は、非公開化への期待をさらに高めそうだ。2021年11月にグループ全体の3社分割案を発表して以来、社内外で反対の声は強まる一方だった。今回、指名委員会が綱川前社長らの退任を決めたが、この間に名門企業のガバナンス不全を招いた社外取締役の責任は重い。

1日就任した島田太郎社長は同日のオンライン会見で「東芝という伝統ある会社で、デジタルが分かる初めての社長だ。ポテンシャルを再定義して成長と高収益を実現し、それを優れた技術開発に傾注していく」と今後の抱負を語った。

スピンオフ計画について、島田社長は「分割計画は予定通り進捗(しんちょく)させる。そのためにも、できるだけ早い段階で多くのステークホルダーとの強固な信頼関係を築く。ステークホルダーの意見を真摯(しんし)に受け止め、全てのオプションを検討して実行していく」と述べた。

社内外からは今回の社長交代の人事を評価する声が上がる。「社内からの人選ではベストだ。今の東芝の状況を見れば、社外から目立ちたがり屋以外のまともな人材は招聘(しょうへい)できないのだから」(関係者)とし、経営混乱の正常化が期待される。

今後の焦点は2社分割計画を撤回するかどうかだ。24日開催の臨時株主総会でスピンオフに対する株主の賛否を聞く予定で、そこで過半数の賛成が得られないと分割計画の続行は難しくなりそうだ。

素顔/東芝社長に就任した島田太郎(しまだ・たろう)氏 国際派で親しみやすく

デジタル変革(DX)の申し子が混乱極める名門企業の立て直しに乗り出す。太平洋戦争期の戦闘機「紫電」の製造で有名な新明和工業に入社し、米ボーイングやマクドネル・ダグラスへの出向も経験するなど、若手時代は航空機の世界にどっぷりつかった。

その後は時代の流れに合わせてソフトウエアの世界に足を踏み入れた。外資系企業での勤務が長い国際派でもあり、フランクで親しみやすい人柄は社内でも評判だ。

東芝入社後は全社のDXを推進してきたほか、21年の「量子技術による新産業創出協議会」設立に際して会員企業集めに奔走した実績がある。DXに明るい初めての社長としてインフラサービス・カンパニーのかじ取りを任された。

まだまだ“悪天候”が続きそうだが、飛行機のように分厚い雲を早く抜けたい。(編集委員・鈴木岳志)


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日刊工業新聞 2022年3月2日

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