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東レエンジが工学系大院生向け研究助成制度を創設する意義

東レエンジニアリング(東京都中央区、岩出卓社長)は、工学系大学院(修士課程)の研究助成制度を創設した。研究室での研究テーマが対象。社会課題解決につながる社会的インパクトや独自性、技術の発展に寄与する工学的価値、表現力などを審査。6件を選出し、寄付金各50万円(総額300万円)を贈呈する。工学分野の大学院生の研究を応援し、次代を担うエンジニアの育成を支援する。

同制度「TRENG Support(トレンジ サポート)」は、日本の産業力の維持・向上と持続可能な社会実現に工学系人材の一層の活躍が欠かせないとの思いから創設。東レ社外取締役の神永晋氏と、東京音楽大学特任教授で東レエンジ技術顧問の竹内佐和子氏、CMディレクターで信州大学特任教授の黒田秀樹氏の3人が審査する。募集期間は7月1日から9月15日まで。結果は10月中旬に東レエンジのウェブサイトで発表予定。

日刊工業新聞 2023年06月29日

東レエンジニアリング・岩出卓社長「大学院生に寄付」

岩出さん

「当社の事業分野に近いものに寄付したい」と話すのは、東レエンジニアリング(東京都中央区)社長の岩出卓さん。7月に、工学分野の大学院生の研究を応援する取り組みを始めた。

応募された研究テーマの中から社会的インパクトや工学的価値を審査し、6件に50万円ずつ寄付する。「手を挙げてくれた学生を支援できる仕組みだ」と期待を寄せる。

審査員には工学系と異なる分野の有識者もおり、「客観的な視点で表現力なども見てもらう」とか。工学系人材を育成する一助となりそう。(大津)


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日刊工業新聞 2023年07月14日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
工学系の修士学生にしてみれば、「研究室における自身の研究テーマ」で助成を受けられるというのは、ラッキーなことだろう。文系学生であれば社会と関わる多様な活動が力になるが、工学系では「まずは専門をきっちり学ぶように!」と、指導教員に釘をさされるケースが少なくないからだ。もっとも審査では社会インパクトや表現力も見るため、専門を核にしながら社会とつながる意識が重要だ。工学系の”スペシャリストでゼネラリスト”を育てる新制度として、期待されそうだ。

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