博士支援で予算6倍要求…文科省が若手研究者の処遇改善、卓越大は財源確保
文部科学省は博士支援事業を拡充する。2024年度予算の概算要求に、23年度比6倍に当たる221億円を盛り込む。10兆円の大学ファンドの運用益から財源として200億円を見込んでいたが、23年度は赤字になった。そのため当初予算に計上する。支援人数は23年度の9000人から2割増やし、1万800人を見込む。若手研究者を支援してイノベーションの創出につなげる。
当初予算と補正予算で進めてきた2事業を一体化させて運用を効率化する。23年度当初予算で36億円、補正予算に200億円を計上し、合わせて9000人の博士後期課程の大学院生に約290万円を支給してきた。大学の経費負担などに違いがあったが、一本化して管理コストを抑える。資金配分機関の科学技術振興機構(JST)や大学の事務管理負担を軽減できる。
経済的支援と並行して博士人材のキャリアパスを整備する。企業でのインターンシップ(就業体験)や海外研修の機会を用意する。従来は博士課程に進学すると経済的な見通しが立たないことなどが懸念されてきた。処遇を改善させ、活躍の機会を広げる。
同事業は大学ファンドの運用益を財源に当てる計画だった。23年度に確保できた運用益は約227億円にとどまる。24年度からの国際卓越研究大学への助成も運用益を見込んでいたため、卓越大に助成するには博士支援は別に財源を用意する必要があった。同事業として確保できた金額が、卓越大への助成可能額に相当する。
日刊工業新聞 2023年08月28日