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コロナ禍の赤字転落が契機…JR東海が経営体力を再強化、全社員にICT教育

コロナ禍の赤字転落が契機…JR東海が経営体力を再強化、全社員にICT教育

東海道新幹線N700S車両(JR東海提供)

【名古屋】JR東海は全社員約1万8700人に対する情報通信技術(ICT)教育を2024年度に始める。教育内容にはプログラミング言語を使わずにアプリケーションを作れるノーコード開発など最新技術やツールを盛り込む。運輸や車両・機械、電気・システムといった職種系統の現場社員が所属する各部署に加え、運輸区、駅を起点にした業務効率化や新事業創出を促す。同社はコロナ禍による赤字転落を機に経営体力の再強化を進めており、ICT活用で勢いを加速する。

JR東海によるICT人材の育成イメージ

先行して全社員の約5%に当たる約1300人を対象に9月中旬から研修を始める。各課や駅から1、2人程度を選抜。集合研修やオンライン学習サービスの受講を通じ、人工知能(AI)などのICTで各部署や現場の課題を解決できるようにする。

24年度からは全社員を対象にICT人材を3段階に分けて育成する。基礎知識や活用方法を教育してスキルを底上げ。国家資格「ITパスポート」の取得も後押しする。

その上で、所属する部署や現場の課題をICTで解決できる能力を持つ「推進役」を育成する。推進役は数年かけて各職種系統に約10%いるようにする。さらに専門的な知識を持って推進役を支援する「専門人材」を同1%となるように育てる計画だ。

教育課程にはノーコード開発やRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)、機械学習などを盛り込む。現場起点での実務への活用を重視し社内での成果を共有する発表会も定期的に開催。第1回を24年度に入る直前の24年3月に開く。

JR東海はこれまで、階層別研修の一環として係長などに昇格したタイミングでICT教育を実施していた。だが、近年のICTの傾向を紹介するレベルにとどまっていた。より実務に即したICT活用を狙い、同時に全社員を対象にすることで若手社員にも教育機会を広げる。

同社はコロナ禍による鉄道需要の減少で、21年3月期から2期連続で最終赤字となった。これを契機に、22年から経営体力の再強化策に乗り出した。現場起点でICT活用による業務改善や事業創出しやすい体制をつくり、収益力を着実に高める構えだ。

日刊工業新聞 2023年月9月5日

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