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社内兼業、副業…化学メーカーが導入するそれぞれの新たな働き方

住友化学は中堅クラスの従業員約1600人を対象にした「社内兼業」の取り組みを始めた。社内で幅広い事業を展開していることから、他社での副業でなく、社内での兼業によって相乗効果の創出を期待する。一方、三井化学三菱ケミカルでは社外での副業を認める取り組みを進めている。事業環境の変化が激しくなる中、化学業界では多様な働き方を推し進めることでさまざまな知見の獲得や価値創造につなげたい考えだ。

住友化学は6月から社内兼業のトライアルを実施。社内の100以上の部署から募集し、これまで10件以上が成立しており、順次進めている。今回のトライアルの成果を踏まえて改善し、2024年度以降に制度化を含めた取り組みを検討する。岩田圭一社長は「当社には幅広い事業領域がある。社外ではなく、社内で兼業してほしい」と語る。従業員が所属する部署とは異なる他の部署で業務に取り組むことで、新たな知見などにつなげたい考えだ。

一方、三井化学では22年までに一般社員から管理職までを対象に職種を限定せず社外での副業を認めており、約70人が活用している。多様な働き方による価値創造と満足度向上につなげる考えだ。三菱ケミカルも副業のガイドラインを作成し、他社でのダブルワーク型などの兼業を定めた制度を20年から運用し、22年末までに70人が実施した。

化学業界はカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)への対応など事業環境の変化が激しい。働き方改革の浸透に伴い個人の事情に応じて柔軟で多様な勤務形態が求められる中、さまざまな人材育成の取り組みが進んでいる。各社は兼業や副業によって得た従業員の新たな知見を生かしながら、次世代に向けた成長につなげていく考えだ。


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日刊工業新聞 2023年08月04日

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