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まるでアイガモ!シンプルで安価な「防草ロボ」の実力

津山工業高等専門学校の井上浩行教授と苫小牧工業高等専門学校の杉本大志助教らは、水田の水を濁らせる防草ロボットを開発した。アイガモ農法のアイガモのように水をかき混ぜて濁らせ、雑草の光合成を防ぐ。機体構成がシンプルで安価に製作できる。企業に技術移転すれば、10万円程度で販売できると見込む。

水車型の水かき板を回して水面を遊泳する。水車は水面から深さ4センチメートル程度までつかり、水をかき混ぜる。遊泳速度は秒速10センチ―12センチメートル。稲苗を巻き込まないようにガイドを設けた。水田で実験すると滞留する水を濁らせられた。稲苗の上を遊泳すると稲苗は一時的に倒れるが、まっすぐ元に戻る。

水田の流量にもよるが週に2回ほど遊泳させて雑草の成長を遅らせる使い方を想定する。鎖や攪拌(かくはん)機を引きずれば、土壌から雑草をかき出すことも可能。機体重量は4・5キログラムと軽い。全長50センチメートルと1人で運べる。スマートフォンからWi―Fi(ワイファイ)接続で操縦できる。

モーターやマイコンなどの製作費は5万円以下。農家が自作すれば安価に運用できる。企業が事業化する場合は販売価格が10万円程度になると見込む。アイガモ農法向けのロボットは実用化されているが50万円ほどする。開発品は自動航行の機能はない。だが水田から水田にロボットを移す作業に人手がかかるため、狭い水田は遠隔操作式が有利になる。

農林水産省は2050年までに化学農薬の使用量半減や、有機農業を耕地面積の4分の1まで引き上げる戦略を進める。実現には有機農業の負荷低減が求められている。

日刊工業新聞 2023年08月17日

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