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コロナ禍が生んだオフィス家具「新時代」…小型ブース・音漏れ抑える机

コロナ禍が生んだオフィス家具「新時代」…小型ブース・音漏れ抑える机

イトーキの「サウンドソファ」

新型コロナウイルス感染症の流行を受けて在宅勤務を余儀なくされた夏から3年がたった。ウェブ会議が定着しながらもオフィスに人が戻る中で、オフィス家具メーカーは狭小空間向けのワークブースや開けた空間でも音漏れを抑制するウェブ会議用机などを投入している。コロナ禍で働き方の多様化は急速に進んだ。各社はその変化を踏まえて、新たな課題を解決する家具の開発に取り組む。(田中薫)

リモートと対面を組み合わせたハイブリッドワークや、仕事内容によって働く場所を変えるアクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)を実践する会社が増えたことで、顕著に販売を伸ばしているのがワークブースだ。2018年に業界で先んじてワークブースを販売したオカムラでは、22年度の販売実績は19年度比8倍。「順調に成長してきている。今はチームで仕事をするため、単体のデスクなどは売り上げが落ち込んでいる。それをカバーする製品になってきた」(中村雅行社長)としている。また同社では、固定席の廃止により荷物を収納するモバイルロッカーや、社内で持ち運べるバッテリーの売り上げも堅調だ。特にポータブルバッテリーの22年度の販売実績は21年度比4倍。23年度には同6倍の売り上げを見込んでいる。

イナバインターナショナルの「ビズブレイク15ミニッツ」

イナバインターナショナル(東京都渋谷区、仁宮順一社長)は、小型のワークブース「ビズブレイク15ミニッツ」を発売した。扉の内側に机を備え付け、いすは高さ調整可能な壁付け式にすることで、通常の1人用のビズブレイクの外寸法が横1311ミリ×縦1311ミリなのに対し、横874ミリ×縦880ミリメートルまで小さくした。ウェブ会議用のブースが置けない狭小のオフィスでも設置でき、会議室を必要とするほどではない短時間の会議や打ち合わせで気軽に使える。搬入施工費を除いた価格は111万円(消費税抜き)。

イトーキはウェブ会議用のボックス型ソファ「サウンドソファ」を開発した。ソファの背面に指向性スピーカーが設置され、着席者にだけリモート参加者の音声が聞こえる。一方で机中央に指向性マイクを設置し、吸音声の高い素材で囲むような構造にすることで、周囲の雑音がマイクに入りにくい。日常的にウェブ会議が行われるようになるにつれて開けた場所でのウェブ会議が増えた。そこで生じる音漏れや雑音の混入など音環境の問題を解決する。23年秋の発売を予定する。

日刊工業新聞 2023年08月17日

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