ニュースイッチ

レゾナック・住友化学…化学メーカーが女性登用積極化で多様性の強み引き出す

化学メーカーが人材の多様性確保の推進に向けて女性の登用を積極化している。レゾナック・ホールディングス(HD)は国内で女性管理職の割合を足元の4・5%程度から2025年までに7%に高める計画。住友化学なども女性登用の具体的な目標値を設定した。脱炭素対応など化学業界の事業環境が激しく変化する中、多様な人材の能力や経験の活用を通じた新たな価値の創出が重要となる。(山岸渉)

「多様性が価値の源泉。一人ひとりの強みに向き合えるようにしなくてはいけない」。レゾナックHDで最高人事責任者(CHRO)を務める今井のり執行役員はこう力を込める。女性登用は多様性の強みを引き出すための重要な取り組みと捉えている。

各社は女性登用を一層推進する方針だ。住友化学は管理職に登用された人に占める女性比率を23―27年度の平均で15%以上とする目標を新たに設定した。22年度は9・5%を見込む。三井化学は女性管理職の割合を25年度末までに1割に引き上げる計画だ。

実際、化学業界ではカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向けた取り組みを各社が強化するなど、事業環境の変化が激しい。石油化学事業の再編や、より付加価値の高い分野として半導体・電子材料やヘルスケア関連を成長領域と捉える向きがある。

1月に昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が統合して発足したレゾナックHDは、両社の強みを融合させて多様性を確保する考え。成長領域の半導体・電子材料の事業を拡大する上では新たな発想で行動できる人材が重要と捉えている。今井執行役員は女性従業員について「管理職にいつ就けるか、どう教育していくかを明確にしていく」と展望を語る。

一方で、今井執行役員は「国内では圧倒的に比率が低い」と指摘。今後の目標として「長時間労働が評価されるなど従来型の風土を改革することが重要。当社では事業所ごとに差があるので濃淡をつけて取り組まないといけない」と話す。

化学業界では、女性従業員の活躍の場が増えることで「子育てを含めて効率的な働き方を実践するケースが増える」(素材加工メーカー幹部)と期待する声もある。変革に向けた大きな原動力として、女性の重要性が一段と増している。


【関連記事】 大手化学メーカー、構造改革の行方
日刊工業新聞 2023年04月14日

編集部のおすすめ