富士フイルムHDが取引先30社に新SCM適用、3万品目の調達管理に共通基盤
富士フイルムホールディングス(HD)は、ブロックチェーン(分散型台帳)基盤を活用した新たなサプライチェーン・マネジメント(SCM)について、2023年度中にイメージング事業の取引先30社に適用する方針だ。デジタルカメラ部品のサプライヤーを中心に3万品目以上の調達管理に共通基盤の活用を目指す。同社は会社間取引の信頼を担保できるブロックチェーン基盤の構築・活用に取り組む。取引先との情報共有を密にすることで安定調達や在庫最適化などにつなげる。
富士フイルムHDはブロックチェーン技術を用いてデータの安全性や信頼性を担保した上で、当事者が情報共有・連携を行うための共通基盤「デジタルトラストプラットフォーム(DTPF)」を構築。SCMやヘルスケア領域などに活用している。SCMに関しては、実証を通じてデジタルカメラ部品のサプライヤー数社と、DTPFを介した生産情報の共有や状況確認などを行ってきた。
実証では、メールや電話など従来のやりとりと比べて情報共有の確度や効率が改善し、「最大40%のリードタイム短縮を見込むサプライヤーもある」(杉本征剛執行役員最高デジタル責任者〈CDO〉)という。さらに生産計画や手配予定を事前共有することで、受注側も生産計画検討や発注作業などを前倒しできる。取引先からの納期回答率がほぼ100%になるなど効果を確認した。
同社は23年度中にイメージング事業の調達管理にDTPFを活用した仕組みを本格運用する。その後はインスタントカメラなどに対象製品を拡大するほか、医療機器や機能材料など他事業の調達関連業務への導入も検討する。
日刊工業新聞 2023年月8月1日