核融合発電の実用化促進、住友商事が一手
住友商事は英国の核融合エネルギー関連企業トカマク・エナジーと核融合発電の商用化に向けて協業する。原子核同士を融合してエネルギーを取り出す核融合発電について、部品などの供給網の構築や熱利用を含む各種産業での活用の調査・検討を進める。2030年代後半の商用プラント実現を目指す。
住友商事は22年に出資した米国の核融合エネルギー企業TAEテクノロジーズとの協業の知見も生かしながら、核融合発電の社会実装を促進する。
トカマク・エナジーは09年設立。核融合エネルギー関連で70件以上の特許を持つ。22年には核融合発電の燃料をプラズマ状態にするのに必要な1億度C超の温度を民間企業で初めて達成した。
核融合発電は海水に含まれる重水素などを燃料に使うため、二酸化炭素(CO2)を発生しない。核融合反応は燃料や電源を切れば停止するため安全性も注目され、国際的に政府や民間企業による研究開発が進んでいる。
日本では5月に、核融合関連の部品開発を手がけるスタートアップの京都フュージョニアリング(東京都千代田区)が三菱商事や三井物産、INPEX、関西電力グループなどから合計105億円の出資を受けた。核融合発電の開発競争が加速している。
日刊工業新聞 2023年07月31日