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Quanmaticが開発、量子アニーラー効率化ソフトの効果

Quanmaticが開発、量子アニーラー効率化ソフトの効果

Quanmaticの開発現場

Quanmatic(東京都新宿区、古賀純隆社長)は、量子アニーリングマシンなどの最適化計算能力を高めるソフトウエアを開発した。答えの質を落とさず、計算に必要な必要な量子スピン数を抑える。量子スピンを節約できると同じ数のスピンでより複雑な問題を解けるようになる。100個のスピンを用いる場合は約20%、1万個のスピンを用いる場面では2%のスピンを減らせることを実証した。

量子アニーリングマシンは量子計算機の方式の一つ。通常のコンピューターが苦手とする組み合わせ最適化問題などを高速で解く。

Quanmaticは早稲田大学の戸川望教授らが開発した効率化アルゴリズム「ダークスピン法」を実装した。組み合わせ最適化計算の制約を利用してスピン数を減らす。Nの2乗個必要な計算を(N―1)の2乗個のスピンで解く。スピン数を抑えて適用範囲を広げる。

ソフトウエアはアプリケーションフレームワーク「QANML」として提供する。アプリケーションフレームワークとはビジネス課題を量子アニーリングマシンで解くための形に直す仕組みで、用途に最も近いシステム階層にあたる。

量子アニーリングマシンの利用者はQANMLで解きたい問題を量子計算用に整え、ミドルウエアを通して計算機で実行する。Quanmaticは当面、ソリューション事業としてユーザーの課題を引き受け、解決にQANMLを活用する。今後、QANML単体での提供も検討する。

Quanmaticは、戸川教授の技術を基盤として量子アルゴリズムの研究開発と実用化を行うスタートアップ。早稲田大学ベンチャーズ(WUV)と東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)が創業投資を行った。

日刊工業新聞 2023年07月13日

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