ニュースイッチ

国産8量子ビット量子アニーリングマシン、NECと東北大が外部利用で共同研究

国産8量子ビット量子アニーリングマシン、NECと東北大が外部利用で共同研究

8量子ビットのチップ

NEC東北大学は、NECと産業技術総合研究所が新たに開発した国産8量子ビット量子アニーリングマシンを利用し、将来のコンピューターシステムに関する共同研究を始めた。

共同研究では産総研(茨城県つくば市)内にある量子アニーリングマシンをインターネットを介して東北大学から利用する。インターネットを介して外部利用できる国産量子アニーリングマシンは国内初。それを活用した共同研究も今回が初めて。

活用するマシンは超伝導パラメトロン素子を用いることでノイズに強く、量子重ね合わせ状態を長く維持したまま多量子ビット化が可能な構成。2022年には4量子ビットからなる基本ユニットの動作実証に成功しており、今回は基本ユニットを並べて8量子ビットとした。

NECと東北大は1958年から高性能計算技術の共同研究に着手。2014年には東北大サイバーサイエンスセンター内に「高性能計算技術開発(NEC)共同研究部門」を設置し、研究活動を行ってきた。今回の量子アニーリングマシンについては津波浸水による人的被害軽減に向けた最適避難経路導出などの社会課題への適用を検討していく。

共同研究では8量子ビットの量子アニーリングマシンと、東北大に設置したNEC製のベクトル型スーパーコンピューター「SXオーロラ・ツバサ」上で動作する疑似量子アニーリングマシンの双方を利用し、それぞれの特徴を生かしたコンピューティングアーキテクチャー(設計概念)の研究も推進する。

日刊工業新聞 2023年06月29日

編集部のおすすめ