デンソーが点火プラグ・排ガスセンサー事業を日特陶に譲渡、それぞれの思惑
デンソーは10日、日本特殊陶業と内燃機関向け一部セラミックス製品事業の譲渡で基本合意したと発表した。対象はエンジン点火(スパーク)プラグと排ガスセンサーの2事業で、2024年2月までの正式合意を目指し協議する。デンソーは利益が出ているうちに内燃系事業を切り出し、電動化など次世代領域への投資を加速。日特陶は強みを持つ製品のシェアをさらに高め、利益創出基盤の強化を図る。
デンソーは2事業を手がける国内外の開発、製造、販売機能の譲渡を検討する。事業規模は非公表だが、日本やアジアなど世界で計10カ所の生産拠点を抱える。
一方、日特陶は排ガスセンサーで約4割、スパークプラグで約5割と高い世界シェアを持ち、首位を誇る。車の電動化は加速しているが、内燃機関車向け部品も当面は安定的な需要が見込める。10日、名古屋市内で会見した川合尊社長(写真左)は「生産体制をより長く最適に維持することで、事業基盤を安定化する」と説明。「得た利益を新規事業にも振り向ける」と狙いを述べた。
交渉期間については「1年以上はかかる」との認識。手続き完了には各国・地域当局の承認が必要になるが、実現すれば売上高で数百億円規模の上積みを見込めるという。
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日刊工業新聞 2023年月7月11日