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「反転は間違いない」…セラミックス業界が半導体・電子部品の需要調整局面終了に備える

「反転は間違いない」…セラミックス業界が半導体・電子部品の需要調整局面終了に備える

ノリタケカンパニーリミテドは小牧工場(愛知県小牧市)で電池部材を作るための焼成炉を増産する。

中部のセラミックス業界が半導体や電子部品需要が踊り場局面にあるうちに、反転に備えた攻めの姿勢を示している。ノリタケカンパニーリミテドは、リチウムイオン電池(LiB)の部品を製造するための焼成炉などの増産に200億円を投じる。日本ガイシも2023年度中に半導体や電子部品関係の設備投資を22年度比1・5倍の250億円に増やす。2―3年後に需要が回復するとみて、仕込みに取り組んでいる。(名古屋・永原尚大)

「(需要が)反転することは間違いない。(25年度から)ロケットスタートを切れる体制をつくる」と力説するのは、ノリタケカンパニーリミテドの加藤博社長。22年度から24年度までの3年間で200億円を投じ、焼成炉や積層セラミックコンデンサー(MLCC)向けの電子ペースト材料の生産能力を増強する考えだ。

焼成炉を手がける小牧工場(愛知県小牧市)では約25億円を投じて新棟を整備。25年3月の稼働を目指す。電子ペーストの増産では、三好事業所(同みよし市)に60億円、港工場(名古屋市港区)に70億円を投じたい考えだ。増産能力は明らかにしていない。

「3―4年後に(需要が)出てくるモノを徐々に準備する。そのための準備は怠らない」と語るのは、日本ガイシの小林茂社長。足元ではスマートフォンやサーバー向けの需要が減退するが、中長期的には需要は強いとして積極姿勢だ。

同社はウエハーやセンサーなどのデジタル関連製品について、30年に23年3月期比約2・5倍の4000億円に引き上げる計画だ。約100億円を投じ、25年に本社地区(名古屋市瑞穂区)で新しい研究開発棟を稼働させる。研究開発投資にも力を入れる構えだ。

日本特殊陶業は、子会社のNTKセラテック(仙台市泉区)が宮城県富谷市で数百億円を投じて新工場を建設中。25年4月の稼働開始を目指しており、半導体製造装置用セラミックス部材を増産する。

各社が積極投資を打ち出すのは、稼ぎ頭の内燃機関向け製品の減少が背景にある。排ガス浄化装置を手がける日本ガイシは需要拡大が継続するのは25年頃までとみており、第2の基幹事業として半導体や電子部品向けの育成を急ぐ。日特陶は30年代半ばから減少に転じる見立てを掲げる。

半導体や電子部品需要の調整局面はいずれ終わる。現在の仕込みにより、成長市場の果実を得ようと投資のアクセルを踏む。


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日刊工業新聞 2023年05月24日

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