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振動でコントロールする「ゴキブリサイボーグ」が生まれた!

大阪大学のリファット・チャドリー・モハマド・マッサム大学院生と森島圭祐教授らは、機械刺激式のゴキブリサイボーグを開発した。触角やお尻を振動で刺激して動きを制御する。電気刺激式よりも生体負荷を抑えられる。がれきの隙間にセンサーを運び込むなど、災害対応向けに提案していく。

食用のマダガスカルゴキブリの触角を治具で固定し、圧電素子の振動を伝える。お尻には小型の振動モーターを貼り付けて刺激を与える。電気刺激方式は触角や尾葉などの感覚器を切って電極と接続していた。機械刺激式は生体を傷つけないため、生体負荷を抑えられると見込まれる。

触角に30―1000ヘルツの振動を与えて指令に有効な周波数を特定した。実験ではお尻への刺激で前進させ、触角への刺激で止めることができた。個体差はあるものの、センサーの測定などに必要な時間だけ特定の場所に留まれる可能性がある。

ゴキブリサイボーグは呼気センサーやガスセンサーなど、小さなデバイスを狭所に運び込み、近くに危険なガスや人間が埋まっていないか確かめる用途が想定されている。センサーの感度が限られると計測時間を確保して測定精度を高める必要があった。

生体負荷は活動時間や活動範囲に影響するため小さい方がよい。搭載可能な機能が限られるため、危険回避などの操縦は難しい。触角などの感覚器が残っていれば遠隔操作と生き物としての危険回避を共存させられる可能性がある。内閣府のムーンショット型研究開発制度で実施した。

日刊工業新聞 2023年07月06日

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