電力効率はGPUの3万倍、東工大が開発したアニーリングプロセッサLSIがスゴい
東京工業大学の川村一志特任助教と本村真人教授らは、計算原理を問題に応じて最適化できるアニーリングプロセッサLSI(大規模集積回路)を開発した。組み合わせ最適化問題など、既存のコンピューターが不得意とする問題に特化する。グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)と比べると電力効率が3万倍になった。早期実用化を目指す。
アニーリングでは複数の相互作用するスピンを反転させながら安定した状態を探る。スピンを一つずつ反転させたり、全体を並列更新したりと複数の計算原理が存在する。1個更新だと計算結果が収束しやすく、並列更新は計算速度が速い。
今回、反転するスピンを確率で選ぶ計算原理を提案し収束性と高速性を両立させた。確率更新や並列更新を含めて四つの計算原理を選べるLSIを作製した。
スピン数は512個。四つのLSIを接続でき最大2048スピンの問題を解ける。実験ではGPUに対して電力効率が3万倍、計算速度は最大58倍向上した。小型IoT(モノのインターネット)機器に組み込むエッジ型のアニーラーとして提案していく。
日刊工業新聞 2023年02月21日