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新型コロナ関連融資の返済懸念、突出して数値が高かった業種とは?

大同生命保険は26日、新型コロナウイルス感染症に関連した融資を利用した企業の2割弱に返済の懸念があるとの調査結果を公表した。中小企業を対象に5月にアンケートを実施した。前回調査の2022年11月に比べ4ポイント悪化した。業種別では、宿泊・飲食サービス業で突出して数値が高かった。中小企業の多くで新型コロナ関連の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が本格化する中、大同生命は「懸念すべき状況」と分析している。

新型コロナ関連融資の返済見通し

アンケートによると、新型コロナ関連融資を利用した3389社のうち、12%が「条件緩和が必要」、3%が「返済が遅れる可能性がある」、3%が「返済の目途は立たないが、事業は継続可能」、1%が「返済の目途が立たず事業を継続できなくなる可能性がある」と回答した。合計で19%の企業に返済が滞る懸念があり、前回調査の15%より悪化した。

特に「宿泊・飲食サービス業」で返済が懸念される割合が43%と高く、全体の数値の2倍以上にのぼった。宿泊・飲食サービス業は、インバウンド(訪日外国人)の増加で需要が急回復しているが、働き手が極端に不足しており、フル稼働できていない事業者が多いと指摘されている。

アンケートの回答企業からは「ゼロゼロ融資を受けたタイミングで物価高となり、返済がきつい」(小売業・東北)や「コロナ禍から売り上げが回復しないうちに融資の返済が始まった。資金繰りの悩みを抱えるのは苦しい」(卸売業・東海)といった声が挙がった。

調査は5月1―26日に大同生命と契約のある企業を中心に同社営業職員が聞き取り方式で実施した。

日刊工業新聞 2023年月6月27日

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