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出光が「全固体電池」電解質の生産能力増強、数倍規模へ

出光が「全固体電池」電解質の生産能力増強、数倍規模へ

今回、設備を増強する小型実証設備第1プラント(千葉県市原市)

出光興産は19日、全固体電池の普及に向け千葉事業所(千葉県市原市)にある固体電解質の実証設備の生産能力を増強すると発表した。2024年度までに同設備の能力を現状の数倍規模に引き上げる計画。7月には新たな実証設備をリチウム電池材料部(千葉県袖ケ浦市)内で稼働させる。電気自動車(EV)への搭載に向けて開発を加速する自動車メーカーなどと歩調を合わせて供給体制を構築し、27年度の量産を目指す。

今回、生産増強や稼働する実証設備で製造したサンプルを通じてユーザーニーズを踏まえた開発を進め、大型パイロット装置での量産技術の確立につなげる。設備増強に伴う生産能力や投資額については相手先との協業に関わるとして公表していない。

次世代電池の本命とされる全固体電池は不燃性の固体を使うため、安全性が高く短い充電時間で航続距離を伸ばすことができる。自動車メーカーや電池メーカーが開発を加速する一方、実用化に向けた材料開発が課題となっている。

出光が手がける固体電解質は硫化物系。石油精製の過程で生じる副生ガスを有効活用し、中間材料である硫化リチウムから固体電解質まで高純度に一貫生産できる点に特徴がある。

出光によると、実用化に向けては固体電解質の粒径制御や成型加工性など材料性能や量産技術などの向上が求められる。そのため今後、材料メーカーとの共同開発も検討していく。


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日刊工業新聞 2023年月6月20日

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