GaAsフォト結晶レーザー搭載LiDARで自動走行に成功、京大などが早期実用化へ
京都大学の野田進教授と北陽電機(大阪市西区)、Doog(ドーグ、茨城県つくば市)らは、ガリウムヒ素(GaAs)系フォトニック結晶レーザー(PCSEL)を搭載した光測距システム(LiDAR)を協働運搬ロボットに搭載し、自動走行に成功した。これまでLiDAR単体の挙動は確認していたが、他製品を制御したのは初めて。今回の実績を基に、LiDARの応用範囲を広げていく。
2021年に北陽電機と共同開発したPCSEL搭載型LiDARの動作を確認するたため、ドーグが展開する協働運搬ロボットを使った実証を行った。LiDARは測定で使用することを想定しており、マイナス40度Cから100度Cまでで安定動作するように構造を最適化している。同ロボットの制御部分を置き換えた結果、ロボットの自動走行が問題なく行えた。レンズを使用していないPCSELを使ったLiDARは小型なのが特徴で、ロボット搭載時にも省スペースですんだことを確認。
これにより、多様なロボットへの搭載の可能性を見いだした。このほかにもビーム品質が高いことにより、微細な画像の計測のカギとなる空間分解能が向上。ゴーストイメージも発生しないのでソフト処理の手間が省けると見ている。
野田教授らは長年、半導体レーザーの研究に取り組んでいる。特にレーザーで使用するGaAs系と窒化ガリウム(GaN)系フォトニック結晶を効率的に生成する技術が強みで、早期の実用化を目指している。
日刊工業新聞 2022年12月23日