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バイオ燃料電池の出力10倍、京大がエタノール酸化酵素電極を開発

バイオ燃料電池の出力10倍、京大がエタノール酸化酵素電極を開発

酵素電極での反応のイメージ(京大提供)

京都大学の足立大宜特定研究員と宋和慶盛助教、白井理教授らは、電解効率100%のエタノール酸化酵素電極を開発した。2種類の脱水素酵素でエタノールを酢酸に変換する。酵素電極でバイオ燃料電池を組み立てると出力は10倍以上に向上した。バイオエタノールを燃料に用いることができれば炭素循環社会の構築に役立つ。

アルコール脱水素酵素(ADH)とアルデヒド脱水素酵素(ALDH)を電極表面に固定して生化学反応から電流を取り出す。まずADHによりエタノールがアセトアルデヒドへ、ALDHによりアセトアルデヒドが酢酸へと反応する。

クライオ電子顕微鏡で両酵素の分子構造を特定し電荷分布を計算した。すると反応部位の反対側が正に帯電していた。そこで電極表面を負に帯電させ両酵素を並べた。

バイオ燃料電池を組むと出力は電極1平方センチメートル当たり0・48ミリワットと従来の10倍以上になった。エタノールから酢酸への電解効率は100%。酢酸菌の生体反応を模したシステムを構築できた。

日刊工業新聞 2023年06月08日

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