超高層マンションに初導入、鹿島が開発した制震新構造の仕組み
鹿島は、巨大地震で生じる長周期地震動への対策として、免震支承や減衰装置で構成する「制御層」を組み込んだ制震構造を開発した。地震発生時には地上から70%ほどの高さに設けた制御層が変形し地震エネルギーを吸収。制震層の上下躯体にそれぞれ免震・制震効果を付与することで、従来の耐震・制震架構に比べ建物全体の揺れを大きく低減する。
鹿島独自の制御層制震構造「KaCLASS」とし、大阪市淀川区に建設中の39階建てマンションに初めて導入する。同社の超高層鉄筋コンクリート造技術「HiRC工法」と組み合わせることで、従来の耐震・制震架構より少ない柱・梁で高い耐震性を確保。安全で開放的な居室空間を実現した。耐震性に加え、居住性や事業継続性を重視した高層ビルにも提案していく。
事業継続計画(BCP)の策定や日常生活の継続を検討するに当たり、近年は建物を長寿命化するニーズが拡大している。併せて高層ビルでは巨大地震に伴う長周期地震動に対応可能な耐震性能も求められており、建築計画との関係で設置できる台数に限りがある制震装置に代わる耐震技術の確立が課題となっていた。
日刊工業新聞 2023年06月07日