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総菜盛り付け・フルーツのピッキング…食品市場でロボットの活躍の場広がる

総菜盛り付け・フルーツのピッキング…食品市場でロボットの活躍の場広がる

ブリヂストンの人工筋肉ハンド

ロボットメーカー各社が食品市場開拓に本腰を入れ始めた。食品向けに専用機種を開発したり、同分野に強いシステムインテグレーター(SIer)と手を組む例が目立っている。6日に東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した食品製造総合展「FOOMAジャパン2023」では、食品分野の省人化や自動化に貢献する製品・技術が集結。食品業界向けには、低価格要求や商品の移り変わりの激しい点が現場のロボ導入の課題だったが、ロボメーカーやSIerの連携努力により普及も徐々に進みそうだ。

デンソーウェーブ(愛知県阿久比町)は、SIerのアールティ(東京都千代田区)やテックマジック(東京都江東区)と共同開発した省人化システムを展示している。その一つが総菜盛り付けシステムで、多関節ロボと人工知能(AI)、食品用グリッパを組み合わせ、ポテトサラダのような不定形で粘性の高い総菜を指定量掴んで盛り付ける。デンソーウェーブの担当者は「指定量30グラムならプラスマイナス1グラムの範囲内の総菜がどれくらいかをAIが学習し、回数を重ねるごとに総菜を早く取れるようになる」とアピールする。

コネクテッドロボティクス(東京都小金井市)は、セイコーエプソン製のスカラ型ロボットを採用した総菜盛り付けロボシステム「デリボット」を出展。設置面積が小さく、2台並べて同時作業することで高速作業が可能だ。ポテトサラダやひじき、きんぴらごぼうなど複数品種に対応し、スーパーやコンビニエンスストアのベンダー向けに売り込む。

カワダロボティクス(東京都台東区)は双腕ロボットを用いたAI粉体秤量システムで、エクサウィザーズと協業。「双椀ロボの片腕で容器を持ち、もう一方の腕で中身を秤る方法なので、ガイドレールの搬送システムより安上がりになる」(カワダロボティクス担当者)という。

FAMSの植物工場

食品向けに専門商品を開発する例も目立つ。ブリヂストンはゴム技術を生かし、空気圧で作動する人工筋肉ハンドを紹介した。フルーツやケーキ、ナッツ類もピッキングできる柔軟性を生かし、拡販を狙う。安川電機はロボットや制御技術を生かし、植物工場の研究に力を入れており、全額出資子会社のFAMS(新潟県見附市)も設立した。レタス類を種まきから植え替え、収穫、番重詰めまですべてロボで行い、24時間稼働でコスト削減を目指す。FAMSの森田卓寿社長は「植物工場は電気代上昇で逆風と思われがちだが、規模を大きくすればスケールメリットで価格は下げられ、食味も良い」と自信を見せる。

日刊工業新聞 2023年06月07日

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