サイバーダインが日米攻勢 売上高39%増達成のカギは?
サイバーダインは2024年3月期に、売上高で前期比39・9%増の46億円を目指す。米国カリフォルニア州を中心に、身体装着型リハビリロボット「HAL」を用いた個人向け医療サービス事業を拡大するほか、日本で個人向けヘルスケア事業の売り上げを伸ばす。M&A(合併・買収)も積極活用する方針。収益面では医療機関や病院向けに、HALのレンタルを増やす。
米国では現在27カ所に設置しているサービス拠点をさらに増やし、HALを用いた自宅での身体機能改善や、日常のヘルスケアモニタリングのサービスを拡大する。1月からHALを用いた「サイバニクス治療」の正式サービスを始めており、今後、著名人によるHAL装着リポートなどのウェブ手段も活用し、知名度向上を狙う。
日本国内の個人向けヘルスケア事業では、腕時計サイズのバイタルセンサー「Cybis(サイビス)」を活用したサービスを実証中だが、これを本格展開する。同センサーを手首などに装着することで心活動や脳活動、体温、呼吸状態のデータを日常的に収集して人工知能(AI)で解析。心筋梗塞や脳梗塞などの早期発見に役立てる。データのクラウド化で自宅と病院がつながる遠隔サービスの拡充も計画する。
HALの医療機器承認は米国や欧州連合(EU)、アジア、中東など海外で急速に進んでいることを踏まえて、病院向けの営業に力を入れる。山海嘉之社長は「22年度(23年3月期)まではコロナ禍で海外営業が難しかったが、23年度は実施しやすくなりチャンスだ」と捉える。
日刊工業新聞 2023年05月31日