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業績改善しないが…賃上げ実施企業62%

日本商工会議所は商工会議所の会員を対象に賃金の動向調査をまとめた。2023年度に賃上げを実施した企業(予定を含む)が62・3%(22年6月調査比11・4ポイント増)、賃上げ率3%以上の企業が50・5%だった。

賃上げの理由は、人材確保・定着やモチベーション向上が85・0%、物価上昇が54・4%。「主要な商品・サービスに一定の価格転嫁が行えた」は11・5%にとどまった。また、賃上げ実施企業のうち、業績改善に伴う前向きな賃上げは20・9%(同7・2ポイント増)に対し、業績が改善しない中での防衛的な賃上げは41・4%(同4・2ポイント増)と多く、コストプッシュ型の賃上げ色が強い。

賃上げの内容はベースアップが53・7%。ただ、価格転嫁ができた企業はベースアップ実施企業が60・0%、3%以上の賃上げを行う企業が65・8%と全体を上回った。

同時に発表した5月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査は、全産業業況DIがマイナス6・2(前月比4・9ポイント増)と3カ月連続で増加した。行動制限のない大型連休や新型コロナウイルスの5類移行、観光需要の回復でサービス業や小売業が回復。製造業は底堅い国内設備投資に下支えされた。

日刊工業新聞 2023年06月02日

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