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仮想空間で自動運転の安全評価、プラットフォーム構築

神奈川工大など
仮想空間で自動運転の安全評価、プラットフォーム構築

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神奈川工科大学やBIPROGY(ビプロジー、旧日本ユニシス)、三菱プレシジョン(東京都港区)、トヨタテクニカルディベロップメント(愛知県豊田市)などのグループは、仮想空間で一貫して自動運転車の安全性評価が可能な環境を構築する。自動運転シミュレーター上で安全評価に必要な環境条件(評価シナリオ)を絞り込み、指標を作成する。安全性評価に関する標準化活動も並行して進め、自動運転車の高度化や社会的受容性を高め、交通事故防止にも貢献する。

自動運転車の安全性評価プラットフォームの構築

仮想空間上で再現性の高い評価シナリオを設定する。評価シナリオでは雨の状況や黒い対象物など車載センサーが弱点とする場面に加え、車両周囲で発生した交通事故状況なども反映し、精度の高い安全性の検証を実現する見通し。シナリオを設定する上でシミュレーション条件が無限に考えられることから「どこまで網羅すればいいかが課題」(神奈川工科大学の井上秀雄特任教授)だ。

現状、既存評価ツールで「車が周囲をどう認知しているか」を検証できる。今後の開発では「その結果が安全なのかどうか」を判断する評価指標を作成する。車両位置を正確に予測して、事故に対する余裕度を判定するなどを想定する。

自動車メーカー各社は独自の評価指標で開発を進めており、安全性や信頼性を説明する上で標準的な評価指標が求められる見込み。

開発の基盤となる自動運転シミュレーター「DIVP」は内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の研究成果として開発。2022年にBIPROGYの子会社「V―Drive Technologies」が事業化した。

DIVPではカメラ、レーダー、高性能センサー「LiDAR(ライダー)」の内部をモデル化し、電磁波や光の反射や透過などセンサー出力に影響を与える物理現象も加味することで出力を精密に再現した。今回の安全性評価環境の構築にあたり、経済産業省の23年度実証・支援事業に採択された。

日刊工業新聞 2023年月5月30日

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