ニュースイッチ

相沢鉄工所が開発、厚さ9㎜鉄板を全自動で切断するシステムがスゴい

相沢鉄工所が開発、厚さ9㎜鉄板を全自動で切断するシステムがスゴい

全自動で切断するシャーリングシステム「ARS―1020DA」

相沢鉄工所(埼玉県川口市、相沢邦充社長)は、厚さ9ミリメートルの鉄板を全自動で切断するシャーリングシステムを開発した。全自動機が対応できる厚さは従来6・5ミリメートルまでだったが、同社は重ねた鉄板を一枚ずつ分離する部分に新たな機構を導入し、対応領域を拡大した。9ミリメートル厚に対応した全自動機は海外メーカーも含めて初という。

相沢鉄工所は板厚6・5ミリメートル以下の鉄板を全自動で切断するシャーリング機を製造する。6・5ミリメートル厚以上を切断する場合は、作業者が手動で鉄板を送り込む汎用シャーリング機で切断するしかなかった。

鉄板は表面保護の油で板同士が密着し、1枚ごとの分離が障害になる場合がある。このため手作業で板間にエアを入れて剥がすなど、重い厚板では作業者の負担になっていた。

新開発の「ARS―1020DA」は、鉄板を吸引するユニットを前後で独立させ、時間差を設けて吸引する機構を初めて採用。これにより油で密着している鉄板を1枚ごとに分離し、完全な無人化を実現した。

材料供給部では、従来は材料下側駆動だけのベルトコンベヤーの上側にも駆動装置を設置。挟み込むように上下同時に材料を送ることで、ある程度反(そ)りのある鉄板でも自動切断を可能にした。

切断速度が毎分60回。消費税抜きの価格は1億2000万円で、年間3台の販売を目指す。すでに初号機を五十鈴関東(栃木県小山市)に納入済み。今後、建築や建設機械、トラックの架装などに使われる厚板を加工するコイルセンター向けに幅広く拡販する。

7月12日に東京・有明の東京ビッグサイトで開幕する「MF―TOKYO2023 第7回プレス・板金・フォーミング展」で、ARS―1020DAの詳細を発表する。

日刊工業新聞 2023年05月26日

編集部のおすすめ