手数料収入減をどうカバー?携帯販売代理店が収益モデル再構築に奔走
携帯電話販売代理店大手が、携帯端末販売・回線契約事業以外の収益拡大に奔走している。保護フィルムといったスマートフォンの付属品の販売のほか、高齢者にスマートフォンの使い方を教える教室の開催など、独自の商品・サービスを展開。携帯通信会社はオンライン専用プランを拡充しており、代理店各社は通信大手からの手数料収入が減少する。「店舗」の価値を生かし、通信会社からの収入に依存しないビジネスモデルを構築できるかが問われる。(張谷京子)
携帯電話販売代理店業界は苦戦が続いている。近年、NTTドコモなどの携帯通信大手は、政府の携帯料金引き下げ要請を受け、オンライン専用の料金プランを拡充。これに伴い、販売代理店に支払う手数料を絞ってきたからだ。加えて昨今はスマホなど端末価格の値上げで買い控えが発生。物価上昇も影響し、通信サービスへの支出が減少している。
こうした背景を踏まえて、代理店各社は回線契約・端末販売事業以外の収益拡大を目指している。コネクシオの目時利一郎社長は「(携帯通信)キャリアのサービスは、お手伝いできるようにしたい。ただ、キャリアとは別のところでもサービスを拡充したい」と意気込む。
同社が力を入れるのは、スマホ活用の有料講座「暮らしのスマホ教室」。スマホの操作方法についてマンツーマンや少人数で受講したいシニア層などを対象にしたもので、直営店舗231店舗で展開中。今後は、子ども向けの携帯電話の使用方法や、女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決する「フェムテック」のアプリケーション(応用ソフト)の使用方法を教える講座の展開なども検討する。「購入に関係なく店舗に来てもらって(スマホやアプリを)使いこなしてもらうためのサポート役をしたい」(目時社長)考えだ。
ティーガイアは、セキュリティー商材やスマホをガラスコーティングするサービスなどが伸びている。2023年3月期に、回線契約・端末販売といった「モバイル事業」の売上総利益に占める独自商材の割合が前期比3%増の19%になった。主に法人向けの「ソリューション事業」でも、売上総利益に占める独自商材が4割以上を維持するなど、堅調に推移する。
ただ、独自商材の展開でも、懸念材料がある。接客サービスのオンライン化に伴う来店者の減少だ。ドコモはコロナ禍による生活様式の変容を受け、オンラインで手続きの相談や申し込みなどが可能になるサービス「ドコモのオンライン窓口」を2月末に始めた。ドコモショップのスタッフが、店頭と同様にオンラインで応対する。
こうした動きは代理店にとって、これまで店舗に行くのが手間だと感じていた利用者に対しても接客可能になるなど利点はある。一方、独自の商材については、販売機会の減少につながる可能性も否定できない。代理店各社は、オンライン需要に応えつつ、店舗の価値をいかに高めて、収益を維持できるかが問われている。