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楽天モバイル、KDDIと「ローミング」新協定の狙い

楽天モバイル、KDDIと「ローミング」新協定の狙い

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楽天モバイルは11日、KDDIから回線を借りる「ローミング」で同社と新たな協定を結んだと発表した。これまで自社回線で提供してきた東京都23区など都市部の一部繁華街でも、KDDI回線を借りる。携帯通信のつながりやすさを改善するほか、基地局の建設ペースを緩めて投資を抑制し、財務改善につなげたい考え。

新協定の契約期間は、6月から2026年9月まで。さらなる期間の延長は両社協議で決定する。ローミング地域の対象に、東京都23区・名古屋市・大阪市を含む都市部の一部繁華街が加わる。地下鉄などの屋内や地方地域も引き続き対象にする。

これまで楽天モバイルは、地方を中心にKDDI回線を利用し、大都市では自社回線の整備を進めてきた。ただNTTドコモやKDDIといった大手携帯通信事業者の中で唯一、電波がつながりやすい周波数帯「プラチナバンド」を持っていない。楽天モバイルの通信は、他社と比べて「つながりにくい」という声があった。KDDI回線の利用地域の拡大で、通信品質の改善につなげる。

新協定の締結は、親会社、楽天グループの財務改善を図る狙いもある。同社は基地局建設など携帯通信事業への投資がかさみ巨額赤字を計上していた。

日刊工業新聞 2023年05月12日

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