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旧日立物流のロジスティード、風力発電設備の海上輸送に参入する背景

旧日立物流のロジスティード、風力発電設備の海上輸送に参入する背景

モノパイルを載せた自航式バージ(ロジスティード提供)

ロジスティード(旧日立物流)は自航式バージ(台船)による風力発電設備の海上輸送事業に参入した。製造元の中国から七尾港(石川県七尾市)へと風力発電の基礎部分であるモノパイル3本などを載せ、約1週間で運ぶことに成功した。重量物運搬船に比べて自航式バージの方が3割程度コストを抑えられるという。洋上風力発電設備が大型化する中、バージの需要は増大する見通しで、それらを積極的に取り込んでいく。

ウェンティ・ジャパン(秋田市)が富山県入善町で開発中の洋上風力発電プロジェクト向けに納入した。中国重工メーカーの江蘇潤邦重工の関連会社製のモノパイルなどを載せて七尾港に入港後、湾内で清水建設の世界最大級の自航式自己昇降式作業台船(SEP船)へと引き渡した。

貨物を陸揚げしないでそのまま積み替えるため、手間やコストを削減できる。今回、出力3000キロワットの風車3基のモノパイルなどを運搬した。

重量物を運搬するバージは通常はタグボートでけん引されるが、動力を持つ自航式バージは自ら航行できるため、タグボートを手配する必要がないなど、施工計画に柔軟性を持たせられる。

今後、洋上風力発電が大型化するに連れ、既存の重量物運搬船では対応できない可能性もあり、自航式バージの活躍の場が広がるとみる。

ロジスティードは約30年前に自前の重量物運搬船を所有し、モジュールなどプラント用貨物の海上輸送業務に力を入れてきた。現在、船舶は保有していないが、これまで培ってきたエンジニア力や現場での運営力を生かし、海外向けの化学プラントや発変電設備などの大型設備の海上輸送に取り組む。計画の構想段階から参画するなど「事前の輸送計画が非常に重要になり、そのノウハウが当社の強み」(ロジスティード)としている。

今後、洋上風力発電のほか、港湾設備の超大型製品などで自航式バージ関連事業を国内外で拡大する。5年以内に現在の取扱量の3倍まで拡大することを目標にしている。


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日刊工業新聞 2023年05月17日

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